vol.3 「あこがれ成長モデル」

2012年1月5日
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私は中学校の教員を15年やってきました。

その中で陸上競技部の指導も長く行なってきましたが、結果を出す生徒には実は共通点があったのです。

それが、「あこがれの先輩や仲間を持つ」ということでした。

 

例えば、目標を設定するときに、「じゃあ、どんな目標にしょう?」ということも実は少なくありません。

頑張って努力しなくてはいけないのは分かっている。でも、どんな目標にしたら良いか分からない。実際にこういう場面に出会うことも多いです。

 

そんな時、私は「あなたのあこがれている人をイメージしてください」と声をかけます。

そうすると、色んなイメージが湧いてきます。

野球をやっている少年であれば、「イチロー選手みたいになりたい」と思うかもしれません。

それではちょっと遠すぎるかな?という人は、去年チームで活躍した○○先輩、あるいは、同級生だけどエースで4番の○○君。

そんなあこがれの人がイメージできるはずです。

 

そうすると、目標も立てやすくなるのです。

「去年の○○先輩は、この大会でヒット〇〇本打ってチームに貢献したから、自分もそうしよう!」

「同級生の○○君は、球速が○○km・練習では8割以上がヒット性の当たりを打っているから、自分も同じように練習で結果を残せるようにしよう」

など、自分が「なりたい姿」が鮮明に描けます。

 

「なりたい姿」が鮮明に描ければ、そのあこがれの人が行なっている練習・生活習慣・気持ちの持ちかたなどをしっかり観察し学んで、目標達成へのステップが明確にすることができます。目標達成の確率を高めることができるわけです。

 

ある女子生徒がいました。

その生徒は明るく元気な生徒で、入部した時からチームメイトの中では一番走力のある生徒でした。

彼女が選んだのはハードル走。

総力はピカイチの生徒でしたが、身長がそこまで高くない彼女はなかなかハードル走では結果を出すことは出来ませんでした。

 

でも、彼女はハードルの練習を本当に楽しそうに取り組んでいました。

それはなぜか。

先輩が、彼女のあこがれの存在だったのです。

 

その先輩は小学校時代は本当に普通の生徒でした。

でも努力の末、3年生になった時には県内で負け無し、県の大会記録も更新して全国大会に出場するまでになりました。

性格も明るく、誰にでも好かれる生徒でした。

 

彼女はその先輩にあこがれていたから、ハードル走を全力で取り組んでいたのです。

 

先輩の全国大会にも付き添いをし、「来年は私が!」という想いを強くしていたことと思います。

苦手だった、ハードル走も徐々に克服し、市内では優勝するぐらいのレベルにまで成長しました。

 

そして3年の夏の県大会。

ここで記録を出せば、全国大会に出場できる。

 

その大会で、彼女は自己記録を更新しますが、あと一歩のところで出場することはできませんでした。

ただ、1年生のはじめを考えると、記録はもちろん人間的にも本当に大きく成長したと感じさせられる走りでした。

 

「あこがれの先輩」を目標にしていた彼女。

その先に何を見ていたのか。

それは「自分が成長した姿」を感じていたに違いありません。

 

「あんな先輩みたいになりたい。」

 

そのあこがれは、自分が成長した姿に他ならないのです。

 

だからこそ、苦しい練習にも耐えられるし、鮮明にその姿をイメージできるんだと思います。

 

彼女はその後、冬の全国大会に出場し、高校ではインターハイにも出場するなど活躍しています。

 

人は、誰に出会い、誰を目標にするかがとても大事になってきます。

彼女はあこがれの先輩に出会い、その先輩を目標にし努力してきたことで大きく成長できたのだと感じます。

 

人は「目標を立ててください」と言われてもなかなかすぐには立てることができません。

立てることができても、「なんかしっくりこない」「まあ言われたからこんな感じか」など意欲の湧かない目標になっていることも多々あります。

 

そんな時、最初に私が伝えたように、「あこがれの人」をイメージしてみてください。

ワクワクしませんか?

なんかやってみよう!という気持ちになりませんか?

学校でも、会社でも、クラブでも、家族でも同じはずです。

 

「あんな人になりたい!」

 

その気持ちがまずは目標達成の第一歩です!

あこがれの先には未来の自分をイメージしているはずです。

 

そうすれば、目標達成できない理由がありません。

だって、「未来の自分」なのですから。

 

あこがれの人をイメージし、その先に成長した未来の自分をイメージする。

 

それが目標達成のための「あこがれ成長モデル」です!

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