最近多くの場所で、
リーダー研修や組織創りの研修、勉強会などの依頼をいただきます。
経営者や指導者、リーダーの方とお話している中で出てくる言葉が、
「人を育てるのって難しいですね」
という言葉。
もちろん、
「1+1=2」
のように予定通りいかないのが人と人の関わりではありますが、
その一方で、
毎年スタッフがイキイキと活躍する職場もあれば、
当たり前に子どもたちが率先して活動し、成長する学校もあり、
全国大会に連続して出場するクラブもあれば、
日本一を連発する指導者も。
その一方で、
なかなか成長させられない、
成果が出せない指導者もいるのが現実です。
その差は一体どこにあるのでしょうか。
私が教師時代に原田隆史先生から教えていただいた言葉で、
大きく考え方を変える言葉がありました。
それは、
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「人は作るものだ」
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という言葉。
それまでの私は、
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“能力のある選手がくれば勝てるはず”
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と思っていました。
結果はその人の持つ「能力」によるもので、
結果が出ているチームは“たまたま”いい選手が集まったのであり、
「うらやましいな」
という気持ちで見ていたのです。
その自分自身の“甘さ”を原田隆史先生に指摘されたのです。
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「先生は、
どんな結果を出したいと思ってる?
そのために、どんな生徒を育てるの?
必要な能力は?
その能力を高めるためにやるべき練習は?
いつまでに何をして、
どうやって成長させていくかを生徒と共有しているか?」
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それまでの私は“行き当たりばったり”で指導をしていました。
“いい選手”または“いい練習”が見つければ、上手くいくはずだと。
雑誌で結果を出したチームの練習が紹介されていれば、
“見よう見まね”
でやってみたり、
誰かに「この練習が良いよ」と聞けば、
とりあえず取り組んでみたり。
きっと、
そのころの生徒たちは心の中で、
(また、何かし始めたよ…)
と思って呆れていたことと思います。
でも、
先生には面と向かって言えない。
けれど、
心の中では「めんどくさいな」と思っているから、
できるだけ“手を抜いて”やろうとする。
当たり前ですが、
こんな状況では生徒は「成長」することはなく、
「結果」が出る訳がありません。
では、
取り組みが悪いのでしょうか?
練習の中身が悪いのでしょうか?
皆さんはどう感じますか。
実は、
その後成果が出るようになってからの練習と、
“内容”
については、あまり変わりはないのです。
では、
どこにポイントがあるのでしょうか?
それは、
”阿吽の呼吸”
にポイントがあるのです。
狙って人や組織を成長させ、
確実に成果を出す指導者たちは、
「何をいつまでに行って、目指すゴールはここだ」
という“全体像”が明確に示されており、
それを、選手や生徒、社員、家族などと、
「共有」
しているのです。
逆に、
成果を出せない指導者は、
“全体像”を持っていないか、
持っていたとしても、自分の“頭の中”だけであり、
全く伝わっていないので、
「何のためにこれを行うのか」
という“目的”や“価値観”を、
メンバーが全く感じていないのです。
ひどい状況になると、
「お前らは言われたとおりにやればいいんだ!」
という指導になってしまい、
こうなると“やらされ感”満載で、
まず成長することはありませんし、
成果が出ることは無いのです。
リーダー的立場である皆さんは、
目の前のメンバーをどう育て、
どうなって欲しいですか。
そして、
そのビジョンを明確にし、共有しているでしょうか。
私は現場での指導者時代には、
自分自身の「教育理念」を示し、
いつまでに何ができるようになることを期待しているかを「資料」によって明確にし、
クラブの「教科書」を作成してやるべきことを具体的に落とし込み、
指導できる「リーダー」を勉強会で育成し、
日々、
「クラブ通信」や「日誌」で思いを共有していました。
「阿吽の呼吸」
と言いますが、
指導者と指導されるメンバーのイメージが“一致”していることが、
「人材育成」では、何より重要なポイントなのです。
リーダー的立場の皆さんは、
ご自身の思いをどれだけ伝えていますか?
それは分かりやすく形にしていますか?
一度ではなく、何度も何度も伝えているでしょうか?
相手の話を聞いて、
思いを共有しているでしょうか。
手法だけでなく、
その取り組む“ムード”“姿勢”にぜひ目を向けてみてください。
いいチームになると、
面白いもので、
指導者とメンバーが“似てくる”のです。
これは、
思いや行動を「共有」し、
心の底まで“阿吽の呼吸”で理解し合えているからだと思います。
きっと、
そのような姿勢が、
”オーラ”とか“ムード”と呼ばれる、
成果を出すチーム独特の空気感なのであり、
そうなった時に、
成長の角度は高まるのだと感じます。